時は開拓当時の1911年(明治44年)。
開拓初期の富良野は木材景気に沸きかえっていました。その頃、札幌軟石を使用した石造りの建物が河村合名酒造会社の酒蔵として看板を掲げました。
開拓初期の木材景気に続き、大正中頃には欧州大戦による豆景気、でんぷん景気が到来。世の中はまさに百花繚乱、飲めや歌えの大騒ぎ。
富良野の繁華街は懐の暖かくなった猛者たちが昼も夜もなく闊歩し我が世の春を謳歌しておりました。
この酒蔵で醸造された「初凪」「松の翁」「初鷹」がそんな猛者たちの喉を潤していったのです。しかし、やがて雑穀ブームは衰退し、深刻な戦後不況、昭和恐慌へと時代が移っていきました。
1930年(昭和5年)、自由な気風に満ちていた大正デモクラシーの終焉とともに、この銘酒の醸造も中止されました。

明治の息吹に突き動かされ、ロマン溢れる大正時代を経て、混乱の昭和時代をたくましく生き抜いてきたこの石蔵は、富良野市内に現存する最も古い建物として、平成の今も存在しています。
その建物こそ、当店『やまどり』の建物です。
外観に使用されている札幌軟石は、現在では切り出しが中止され、なかなかお目にかかれない素材となっています。室内で天井を支える横梁も建築当時の物そのままです。
長い年月、厳しい自然にさらされながら、風化することなく保ち続けるその外観は、石の持つ冷たさよりも、自然のたくましさを、渋く変色し光沢を放つ梁は、100年近く前のキラキラとした息吹を伝えているような気がします。
屋根にある三連の三角屋根からは、柔らかな外光が店内に流れ込みます。

